美容歯科
美容歯科について

美容歯科とは
審美歯科と美容歯科は意味が異なります。違いは治療の目的が異なることです。
審美歯科では
黄ばんだ歯 → 白い歯
欠けた歯 → 整った形の歯
というふうに色や形を「一般的な基準で修正する=置き替える」ことが治療のゴールになります。
これに対して、美容歯科は審美歯科のようにセラミックを被せ直しただけで済ますのではなく、患者様の固有な要望や現在地の問題点を解決する治療です。
オンリーワン・デザイン・セラピー
について
患者様の希望を現在の口の中でどう実現してゆくかを一緒に考えながら進む治療です。
「オンリーワン・デザイン・セラピー」と呼びます。ドレスの購入に例えると、審美歯科は店頭に陳列してある既製品ドレスを選ぶと言えます。それに対し美容歯科はオーダーメイドの仕立てです。
美容歯科では、歯の削り方は
「たった一通り」しかありません
セラミックやジルコニアで美容歯科を行う場合や術前の状態から患者様の希望する形に修正する場合は、ワックスアップといって製作予定のモールド(形)を予めデザインして、このモールドを実現するために必要な治療内容を整理しておく必要があります。
家屋の建築に例えれば設計図を起こすことに相当します。これに沿って歯の削除量やどこを削るかが術前に判明します。
治療プランを作り、患者様の同意を得てから美容歯科がスタートします。
セラミックが永く耐つ秘訣は
「界面」と「習慣」にあります
審美歯科や美容歯科を行う場合、金属は大抵排除されますが歯の修復に使うセラミックの材質に関しての理解をしておかなければなりません。
セラミックといっても保険のCADCAMやエステニア、イーマックス、ジルコニアと多種類あり、各々の耐久度や適用箇所が大きく異なります。自費の値段の安さにつられてセラミック中で最も劣悪なエステニアを2〜3万円という値段につられて入れた挙句3か月程度で破折したと言って、他院のクレーム付きで来院される方がいますが、お気の毒ですが、エステニアというハイブリッドセラミック(プラスチックにセラミックの粉末が混じっているだけのもの)にはその程度の硬さや寿命しか無いので仕方ないです。
患者様は自分の歯に嵌められる材料を治療時にしっかりと理解しておく必要があります。当院では、使用材料の硬度表を見せながら、患者様に自分の歯に嵌める材料を選んでいただいています。もちろん、部位別の選択の範囲は当院からした上での提案になります。
歯に発生した虫歯を除去した後に、セラミックでどう治療するかは意外と難しいです。削った形にすっぽりセラミックをはめ込めばいいか?というとそれで済む場合と済まない場合(=早期にセラミックか歯が欠ける場合)とに分かれます。
この分岐点となる概念が「界面の評価」です。
来院される患者様のご希望
- 何年か前に詰めた銀歯を白くしたい
- 歯と歯ぐきの間の黒い部分をキレイにしたい
- 前歯の形や色、向きが気になる
- 全体的に歯を白くしたい
- 1本だけ色の違う歯が気になる
- 被せ物の材質の比較
上質なセラミックによる審美治療
見た目の改善を重視する美容歯科治療では、「セラミック」による詰め物、被せ物が主流となっています。上質なセラミックは自由診療(保険適用外)の治療となりますが、保険適用の材質よりも天然の歯に近い色を出すことが可能です。
患者様のご希望に合わせたご提案をしておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
美容歯科治療の流れ
―オンリーワン・デザイン・セラピーのプロセス
カウンセリング
まず、何が問題でどういう治療法が候補になって、何が患者様にベストな選択になるか、美容歯科専門医の立場からコンサルティングします。
問題点の少ない症例ではこのステージで治療法が確定して見積もりが出せます。

診査
美容治療を成功へ導くために必要な診査を行います。
レントゲン診査(デジタルレントゲン、必要であればCT)を行い、支台歯の歯に虫歯や根尖病変、歯周ポケットなどの問題が無いかを診査します。
歯列不正やわずかな咬合異常が存在すると、長期的には歯が壊れていく原因になるため治療の前に咬合の診査をします。
これには患者様のお口の状態の歯型をとって、石膏模型にした上で分析します。この分析で最終的な治療の方針と確定した見積もりが出ます。

エビデンスのある
美容治療の確定
問題点を整理してエビデンスのある美容治療を確定します。もし、従来の装着物が壊れたのであれば必ず原因があったはずです。

例えば
- ブリッジが耐久性のない無理な設計や印象、支台歯の形成が不良
- 主治医がセラミックの形を歯科技工士に任せた挙句、実際の口腔内では審美的に不備な例
- 大臼歯などの強い力が加わる歯の治療にそもそも耐久性の無いセラミック
(例:エステニアや保険のCAD/CAMに類するもの)を装着してしまって、すぐに割れた - 歯の土台でファイバーコアを採用したが、フェルールが無いなど適用条件を満たしていないため、
差し歯がファイバーコアごと外れてきた など
こうした壊れた原因を見直して、今後の正しい対応法を患者様と話し合って、長期間お口の中で使えるような歯を作るために
必要な治療法を確定します。
美容治療に必要な前準備
美容治療に必要な前準備を行います。
セラミックで複数の歯を治療する場合、最終的にどういう歯の形にするか歯の幅や長さ歯の豊隆などを決めなければなりません。そして、そういうモデルが実際の口の中でぴったり合うかどうかを見極める必要があります。
このような最終モデルをプロビジョナルレストレーションといいますが、治療を行う歯にまずそうした形態を意図した仮歯を装着して機能とともに審美的な評価を下します。

歯の形を決めるには、あらかじめ患者様から「歯の形をどうしたいか」という希望を聞いて、それを実現するためにワックスアップという歯の形を決める作業を行い、これに基づき仮歯を用意して治療の前準備をしておきます。
この一連の操作で目標が達成できたことを確認したら、いよいよセラミックを入れるために歯を削る治療に移行します。
このとき、歯を削るのは歯科医師の按配で決めるのではありません。先のワックスアップで確定したものからステントというガイドを用いて、セラミックが必要とする分だけを歯から削除して精密な形成を行います。
つまり治療予定の歯の形はゴールを先に決めてから削るので、その削り方は一通りしかないのです。
美容治療ではこうした厳格で患者様の目に触れない部分でのかなり手間と時間・費用がかかる部分が必要になります。歯を削るためには歯科医師のいい腕はもちろん必要ですが「いい腕」は天性のものでももちろん腕力でもなく「知性の力」です。
こういう歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士ら何人もの専門家で時間とコストをかけて行う下準備すべてが治療費に含まれるので、美容歯科にはある程度のコストは必要になりますことをご理解ください。
精密な美容治療
精密な美容治療は“勘”や“センス”でなく科学です。
支台歯を支える歯が神経を温存した生活歯かあるいは神経の無い失活歯かにより土台の必要性の可否が決まります。
土台が必要な場合、それをファイバーコアで入れるかメタルコアにするかの使い分けは補綴治療の厳格な基準があります。
歯の残存部分が少なくてファイバーコアが歯根から短期に抜け落ちるようでは困りますから、どんな症例でもファイバーコアが入れられるわけではなく、ファイバーコアとメタルコアにはしっかりした使い分けがあります。

もちろん、ファイバーコアは白い物性なのでセラミックを被せる場合、審美的な優位性ありますが、土台でメタルを使用した場合には、審美効果を減衰させないための歯の形成法があります。
いずれにしても、歯の強度をしっかりと維持できるそれを守ると軽く20年は耐久性のある治療が可能になります。
もちろん、このときは事前に作成したステントをガイドにして形成し、歯冠長・オーバージェット・オーバーバイト・歯冠に付与する平行性の希少部分の確保を行いながら形成します。
つまり、審美歯科での歯の形成は経験や勘、センスなどというもので行う操作とは一線を引くものです。
美容治療はいろいろな点で現状の咬合を修正することがほとんどです。従って、新しいモールド(形)を実現するためには他の部位との調和を図らなければなりません。
美容治療で得られる形は他のすべての他の歯と調和を確定して初めて得られる結果なので、この形態はほぼ1通りしかありません。美容歯科は術者の勘やセンスで決まる部分は全く無くその形態は咬合のバランスを反映した科学的な形態として表現されるのです。
例えばセラミックを歯根部分から支える“土台”をどう作るのか?という見た目ではなく、耐久度の要望からして設計の違いは多く出ます。セラミックで歯の色を表現する場合その色の確保に必要な“セラミックの厚みの確保”が必要になります。すると土台を支える歯根の直径からセラミックの色付けに必要な厚みを差し引き土台の太さがやっと決まります。
土台の直径=歯冠の太さ−セラミックの厚み
すると土台の直径が少し細くなることもある訳で土台を作るのにファイバーコアを用いることもあれば、ファイバーコアの必要条件を満たすことができずにメタルコアになることもあります。この使い分けには補綴学的にエビデンスある診断を伴います。
コアには破折しにくいからファイバーコアを用いる、という考えは耐久性を著しく損なうことがありますので、無条件で施術することは慎まなければなりません。
セラミックを長く維持する
ために
必要な診査とケア
そもそも奥歯が壊れたりする原因は、壊れた歯の反対側の奥歯が噛みにくかったり、あるいは無くて噛めなかったり、あっても使用していなかったりした習慣(片噛み癖)がある可能性があります。
前歯が折れたりするケースでは奥歯が無かったり、前傾して咬合高径が低くなっているため、前歯が奥歯のように咬合力が集中していることがとても多いです。

壊れた歯を直して再度、快適な生活に戻ることは大事ですが、現在の口腔内の問題点の是正をせず、食習慣の問題点も放置したままではまた近日中に破損の憂き目を見る可能性があります。
主訴となった破損部位とともに、その原因となったお口の問題点も修理すべき部分があれば治療を加えることは必要となるでしょう。
また歯が壊れる原因としては、虫歯や歯周病といった「疾病」以外に自分だけの癖で歯を壊してしまう方が多いです。
これには、噛み癖、歯ぎしり、食いしばり(TCH Teeth Contacting Habit)という目で見てわかるデータ(レントゲンや歯周ポケットなどの数値的に測れるもの)では現れない問題点です。
こうした要素をすべて見直した上で治療後のメインテナンスを受けるととても長期にお口の健康は維持できます。
補綴の種類
e-max インレー クラウン
について
e-maxは現存するセラミック中、最も硬度の高いものです。硬さは、歯のエナメル質の約1.3倍あります。
適応箇所としては前歯と小臼歯になりますが、歯ぎしりや食いしばりの強い方では稀に破折することがあり、こうした事態にはジルコニアへシフトすることもあります。
メリットとして、セラミック特有の透過性を有しているため天然歯に合わせやすい=色が合いやすいということです。
左大臼歯がジルコニア、右小臼歯がe-maxで、色が天然歯に近く、透明度があります。

ジルコニアについて
口腔内に装着する材料中、最も硬度の高いものです。インレータイプでエナメル質の3倍、クラウンでは4倍以上の硬さを有しますので、大臼歯やブリッジに活用出ます。ジルコニアはセラミックと異なり光透過性がないため、前歯では審美的に問題が生じることが多いため、ジルコニア表面上にセラミックを焼き付けて審美的配慮を行います。
ジルコニアが割れることはめったにありませんので、歯科治療では最も安心して用いることができる素材ですので、当院として最も患者様の皆様方へお勧めしているものです。

ジルコニアで被せる場合に
必要な歯の形成量
歯のエナメル質を喪失した症例ではこれくらいの削除量が必要になります。これくらいなら、歯の神経が生きている場合でも除去せず、治療を進めることが可能です。

シリコンを用いて精密印象
歯の形成後はシリコンを用いて精密印象を行います。印象の措置が保険診療とは大きく異なり、仕上がりの精度を決める重要なステップになります。

ジルコニアブリッジにおける
精密な印象採得の例
この精密印象で次の誤差ないジルコニアクラウンを製作することができます。

精密印象で寸分の誤差もないジルコニアクラウンを製作して、口腔内へ装着します。
20年たっても何の遜色なく機能していると考えます。

