ブラキシズム
ブラキシズム:
歯ぎしりとは

ブラキシズムについて
ブラキシズムは「夜間の歯ぎしり」のことです。最近の睡眠学より睡眠の浅い時間帯(レム睡眠)に現れてくることがわかってきました。歯ぎしりがあるといろいろな歯の愁訴として症状を呈してきます。
虫歯がなくても、知覚過敏で水に凍みたり、歯ブラシを歯に当てるときの痛みが生じることが多くなります。
また、レントゲン診査や歯周組織検査が正常であっても、歯の痛みを感じたり、顎関節症や片頭痛の引き金になることがあります。長期的には、複数の奥歯の隣接部の虫歯を作る原因になる可能性もあり、継続した強いブラキシズムを放置し、その症状がひどくなると歯髄壊死や歯根破折を起こし、口腔内に大きなダメージを残すこともあります。
ブラキシズムの症状
について
ブラキシズムにより
歯根破折を
起こした状態
(レントゲンで左下の奥歯)
大臼歯は2根ですが、遠心部が割れて遊離していることがわかります。対合の上顎の大臼歯と夜間の歯ぎしりにより衝突を繰り返していたことにより、歯根破折が生じます。
こうなると、抜歯する以外に方法がありません。

歯軋りによって
歯にフラットな面が
生じている
ブラキシズムは大脳からの指令で末梢に当たる両側頬筋が、夜間に規則正しい側方運動を惹起します。診査のために歯の型取りすると、歯に綺麗に削れた平らな面が観察できます。
写真は歯軋りによって歯にフラットな面が生じています。

上下で合わせるとフラットな面が側方の運動ガイド面になっていることが判明する
ブラキシズムは患者様の意思、あるいは服薬で予防できる疾病ではありません。TCHや噛み癖と並びHabitつまり生活習慣の中の悪い部分と考えられています。
ブラキシズムは大脳の活動により発生しますが、大脳活動を抹消することは人間としての生命維持活動を止めることになりますから、これを止める手立ては存在しません。

したがって、一生ブラキシズムと付き合っていかなければなりません。しかし、ブラキシズムを放置すると先の症例のように特に奥歯が破壊されてしまい、喪失して歯でものを噛めない状態になってしまいますので、唯一の対抗策として「ナイトガード」というマウスピースを夜間に限定して装着し、ブラキシズムのダメージから歯を守ることが必要となります。
ブラキシズムの予防対策
ナイトガード
ナイトガードはアクリル製樹脂ハードタイプです。歯科医院でのカスタムメイドのみ有効です。市販品およびソフトタイプは全く効果がありません。
歯ぎしりの有無は、咬合を模型で採るなどの診査から判明しますが、現実問題として左右にどれほどの振幅で移動量があるかまでは診断できません。
左右の移動量を想定して大臼歯を作らないと歯はこわれていきます。安易に作って並べるだけ並べると医原性の破壊になることもあり、次にそうした危険な治療が問題点となった事例を挙げてみましょう。

ブラキシズムを考慮しなかった
失敗例
これは渋谷区の某歯科で抜歯即時インプラントと左下の8番(親知らず)にジルコニアクラウンを装着してもらったそうですが、側方の咬合が全く考慮されていないため、ブラキシズムにより上顎両方の大臼歯2本ともが咬合性外傷により抜けてしまいました。
